群馬県館林市 House SE

群馬県館林市の家


館林の家 House SE
みなもによりそう家


この家の南側には、蓮見の水面があり、その奥にも見渡すかぎり、水と緑に溢れた更に大きな水辺の景観があった。建主は、長年かけて見つけた景観を楽しめ、エアコンなどをあまり使わず、暑さ寒さを和らげられる家を希望した。

そこで、水面に浮く船のように、景観に寄り添うような家をつくることを考えた。

各部屋は、南の陽が等しく得られて、どの部屋からも景色が楽しめるように景観に対して平行に並べた。各部屋は個室のように独立することも、ワンルームのように家族の気配を感じ、共有感を得られるようにもした。
北側には公共施設があるため、プライバシーを確保できる窓以外は壁とし、南側の壁は構造計算によって導かれた必要な耐力壁以外は全て引き違い戸とし、風を取り入れやすく、南側のデッキに出やすい環境をつくった。

屋根勾配は、ソーラーの発電力が最も高くなる勾配とし、ソーラーパネルを設置した。その屋根勾配をそのまま室内の天井勾配とし、北側の天井は南よりも1.8m高い天井高とした。この高低差は、室内で温められた空気の熱上昇を促し、北側の高い位置に設けた窓を通して暑い空気を外部に排気する。
さらに南側の窓は風の取り入れ口として大きなサイズの窓とし、北側の窓は排出口として小さなサイズの窓とすることで、室内に外部で吹く風以上の流れを生み、熱気の排出を加速させることを考えた。

また、南側の軒は夏の日差しを遮り、冬の日射を取り入れる長さとし、形状は夏の水面の上で冷やされた風を室内に取り込み易い形とした。

これらのことにより、日本で最も暑い日を記録するような地域にあるにも関わらず、気持ちの良い風を感じながら、ほとんどエアコンを使わずに過ごすことができたようだ。逆に、冬は室内奥まで日差しが入り、色の濃い床が日射により熱を生み、室内に熱を蓄熱するため、日が暮れても暖房を使わずにいられるとのことだ。

水辺に浮くデッキの上に勾配屋根を乗せたようなこの家は、エネルギーに頼りすぎず、建築の構成で室内の環境負荷を軽減し、緑と水の豊かな景観や四季の変化を感じながら家族と一緒に過ごすことができる家となった。


所在地:群馬県館林市
用途:注文住宅


受賞歴
 「2018 ぐんまの家」設計・建設コンクール <優良賞>



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