




群馬県太田市 House KM
家族を感じるいくつもの居場所この住宅は、家族が同じ時間を共有しながらも、それぞれが心地よく過ごせる居場所を大切にした住まいです。特別な演出や装飾に頼るのではなく、光の入り方や視線の抜け、素材の質感によって、家族の日常そのものが美しい風景となる空間を目指しました。
住まいの構成は、ひとつの囲われた芝生の庭を中心に、暮らしが広がっていくよう計画しています。屋内から半屋外、そして屋外へと空間を連続させることで、その時々の気分や心地よさに応じて、自然とのつながり方や居場所を選ぶことができます。テラスに椅子を出して読書をしたり、庭づくりに没頭したり、作業に疲れたときにはテラスに腰をおろして広がる空を眺めたり。そうした日常の光景は、さまざまな部屋からも感じ取ることができ、暮らしの気配が住まい全体にやさしくにじんでいきます。
子どもたちは、ダイニングの大きなテーブルで勉強をし、より集中したいときには、すぐ隣にある書棚を備えたオープンな書斎へと移ります。母親の存在を感じながらも、自分自身と向き合える程よい距離感です。時には家族から少し離れ、リビング上部のホビースペースで兄弟や友達とゲームを楽しんだり、ひとりになりたいときには個室で過ごしたりします。どこにいても子どもたちの気持ちや様子を感じ取れるよう、空間同士のつながりを丁寧に計画しました。
寒い季節には、薪ストーブが暮らしの中心となり、生活の濃度を変えていきます。リビングやダイニングキッチン、庭のどこからでも炎を眺められるよう、両面ガラス張りの薪ストーブを設えました。炎の揺らぎや薪のはぜる音が、空間に静けさとやわらかな陰影をもたらし、日々の疲れをそっと和らげてくれます。居場所は広がりながらも、自然とひとつの中心を持つ住まいとなっています。
暖かくなると、芝生の庭には道路に面したルーバー越しにやわらかな風が通り抜けます。バーベキューの際にはルーバーを開放することで、ガレージやその前の広場とつながり、多くの友人が集まっても一体的に使える、伸びやかな庭となります。
家族が同じ屋根の下でそれぞれの時間を過ごしながら、互いの気配を感じ合える住まいが、ここにかたちとなりました。
所在地:群馬県太田市
用途:住宅
写真:Kai Nakamura














