




群馬県邑楽郡 House MR
ぞうのいえ― 声と表情が行き交う、原っぱのような家
この家には、家族が集まるための中心的な場所はありません。
代わりに、内と外にまたがって、居心地の異なる場所が点在しています。
暑ければ、自然と涼しい場所へ。
寒ければ、陽の当たる場所へ。
その時々の気温や気分に導かれるように、
家族は居場所を選びなおしながら過ごしていきます。
家族は、同じ空間にいなくてもいい。
室内の別の場所にいたり、外にいたり、
外を挟んだ室内や、室内を挟んだ外にいたりする。
けれど、この家では、
完全に切り離されることがありません。
どこにいても、
子どもたちの楽しそうな声が、どこかから聞こえてくる。
姿が見えなくても、その声にふっと幸せを感じる。
反対に、声が届かない外にいても、
その楽しそうな表情が目に入り、同じ気持ちになる。
この家がつくっているのは、
視線や動線で管理された「つながり」ではなく、
気づける関係性です。
読書も、仕事も、遊びも、
今やどこでもできる時代だからこそ、
家族といるということは、
同じ場所に集まることではなく、
互いの気配を感じ取り、
近づいたり、離れたりする距離を
その都度、選びなおすことなのだと思います。
打合せの中で、
大きな家の模型を見た娘さんが、
この家を「ぞうのいえ」と名付けてくれました。
使い方を決めすぎない、
おおらかな存在としての家。
この家は、
家族それぞれのふるまいを受け止めながら、
声や表情を介して関係が更新されていく
原っぱのような建築です。
受賞歴
「2021 ぐんまの家」設計・建設コンクール <優良賞>
TV放送歴
TV放送「渡辺篤史の建もの探訪」
所在地:群馬県邑楽郡
用途:注文住宅
Photo:Kai Nakamura



















