群馬県太田市の飲食店 ミールズ(meals)

群馬県太田市の飲食店


群馬県太田市の飲食店
meals


この建物は、夫婦で30年ほど切り盛りしてきたそば屋さんだった。長い間、地域に根ざし、地域に慕われてきたお店でもあった。そのご夫婦が引退することを聞いたクライアントさん。彼にとって、このお店は祖父と通った思い出の場でもあった。そんなお店が空き家になってしまうのは寂しいと感じ、店をつくることを思い立った。その行動は、もともと太田市の活性化や空き家問題に意識が向いていたクライアントさんだったからの発想でもある。
そこで、我々は古いものを良いものとして扱い、それをより良く見えるように新しいものを加えることを考えた。

具体的には
・地域に親しまれていた外観はそのままとし、アルミ製の格子引戸は、開かれた印象を与える木製框のガラスドア
 に換え、手が触れる取手は、ぬくもりを感じ、経年変化が味になるくるみの無垢材を使用した。
・天井裏に隠れていた味のある梁を表し、大きな窓を通して、地域にその良さを伝えるようにした。天井裏を表わ
 したことで必要になった間仕切り壁は、古い材料と同じ木材を着色せず素のまま、同じ方法で施工し、新旧の材
 料が一緒に変化して行くことを楽しめるようにした。
・外部に面して設けられていた、そば打ちを見せるスペースは、客席ではなくギャラリーとして残し、地域の人が
 使える小さなギャラリーとして地域に開くことで、新しい価値を足した。
・そば屋時代に使われていた材料も再利用し、新材ではできない良さを表したり、新しい使い方で別の良さを引き
 出すように考えた。
・店舗前の駐車場スペースは、樹木のある大きなテラスに変え、地域に慕われてきた建物が引き立つようにした。
 将来的には、簡易なテント生地でテラス全体を覆い、散歩する人でも腰を下ろせるような緑溢れる、みんなが集
 まれる空間にしつらえる計画になっている。
・室内の塗装は、クライアントさん自らワークショップを開き、子供から大人までが参加した。新しさを加える作
 業をみんなで楽しみながら仕上げることで、思い出となり、より多くの人の心に残るお店となった。

空き家をただ新しく改装するのではなく、建てた時の作り手の想いを引継ぎ、建物の良さを見極め、多くの人との関わりの中で、コミュニティを引き継ぎ、作り出していく。そんな物語をつくることが大切だと感じている。

どの地域にも、特に地方の中心市街地では空き家がたくさん見受けられる。それはこれからもますます増えて行くだろう。それをどうにかしていく必要がある。こういった問題に対して積極的に提言する新たな一歩としての活動となった。



ミールズ
 所在地:群馬県太田市大島町384−2
 電話:0276-51-4299
 用途:飲食店(カフェランチ/タイ料理料理)
 営業日:カフェランチ:火〜金のランチ
    :タイ料理:土〜日・祝のランチ、火〜日・祝のディナー
 WEB:www.brookcompany.net


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